第21回寺子屋サルーン「イノシシレザーに学ぶ!身近な地域資源の活かし方」を開催しました(令和2年1月25日)

1月25日(土)に,第21回寺子屋サルーン「イノシシレザーに学ぶ!身近な地域資源の活かし方」を開催しました。講師は,イノシシレザーのブランド「サングリエ」を立ち上げた瀬川 礼江さんです。

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瀬川さんは,城里町地域おこし協力隊として活動していた2016年に,狩猟免許と猟銃所持許可を取得しました。もともと狩猟に興味があったわけではなく,取ってみないかとお誘いがあったこと,免許取得までの補助があるといったことが理由で,免許を取られたそうです。そして猟友会に交じりイノシシの解体作業に立ち会う中で,捨てられていく皮が気になり,なにか再利用の道はないかと考えたことが,活動のスタートとなりました。

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講師の瀬川さん

 

イノシシ皮を鞣すまでの苦労

イノシシの皮を鞣し革に加工するには,数々の困難があったそうです。

まずは,解体後の皮の下についている脂の処理について。イノシシの皮の下には分厚い脂の層があり,この脂を綺麗に削がなければ質のいい革になる可能性が下がってしまうそうなのですが,その作業工程でとても苦労されたといいます。

現在は機械を導入しているとのことでしたが,初めに一頭分の脂をナイフで削いだ際には,脂ですぐにナイフの切れ味が落ちてしまい,5時間もの時間がかかってしまったそうです。

また,夏場には仕留めたイノシシの腐敗が進んでしまうため,その保存にも気をつけなければならないといいます。

 

活動資金について

 作業をする場の確保,脂を削ぐ機械や保存用の冷凍庫の購入,設備工事費などの活動資金を調達するため,瀬川さんはクラウドファンディングを利用しました。

活動自体の共感性ももちろん重要ですが,目標金額を達成するため地道な努力をされたといいます。

具体的には,チラシを置いてもらえる場所にはチラシを配る,自分の作品以外のリターンを加えて宣伝につなげる,様々な媒体に情報提供する,進捗レポートを更新するなど,思いつくことはとにかく実行したそうです。

その結果,見事に目標の額を超えてクラウドファンディングは成功しました。

 

イノシシ狩猟の現状

茨城県でも,イノシシによる農作物被害は深刻です。城里町でも多くのイノシシが駆除されているそうですが,その多くが焼却処分となっているのが現状だといいます。

イノシシといえばジビエ料理ですが,茨城県ではイノシシ肉の販売が石岡市の一部地域でしか許可されておらず,基本的に食肉として利用できるのは,猟師の方が自己責任で持ち帰って消費するものに限られるため,焼却処分の割合が50%を超えているそうです。

命を無駄にしないために,まだまだ考えるべきこと,課題があるのだと実感しました。

瀬川さんは,今は削いで捨ててしまっている脂の再利用も考えており,実際にイノシシの脂を石鹸や化粧水に利用する例もあるそうです。

 

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 講演の様子                   瀬川さんの作品

 

ワークショップ

今回は,瀬川さんに実際のイノシシ革を持ってきていただき,ブレスレットやキーホルダー作りを体験しました。

「手元に残るお土産がこの活動を思い出すきっかけになれば」との思いから,このような体験の場をご提供いただきました。

みなさん,「とてもいい思い出になった」と笑顔で作品をお持ち帰りいただき,貴重なワークショップとなりました。

 

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今回使用したレザーのパーツ                                     作業する皆さん            

 

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 金具をつけて完成です               ブレスレット(スタッフ作)

 

とってもオシャレなアイテムに変身したイノシシ革の作品はどれも素敵で,城里発の人気ブランドになってほしい!と非常にワクワクしました。

まだまだ課題はあるとのお話しでしたが,脂の再利用なども含め,今後の活動展開がとても楽しみだと感じました。

また,私たちの周りにある身近な地域資源の活用についても,考えてみたいと思いました。 

 

みなさんもぜひ,「サングリエ」を覗いてみてください。

サングリエHP→https://sangrie-leather.shop/