静岡市大沢地区「縁側カフェ」のフィールドワークを行いました!(その2)
今回のブログでは、静岡市大沢地区のフィールドワークの様子をお伝えします。
(ここまでの詳しいいきさつは、前回のブログ静岡市大沢地区「縁側カフェ」のフィールドワークを行いました!(その1) - Challenge IBARAKI's diaryをご覧ください。)
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大沢地区到着後、集落で一番高台にある大沢公民館で、代表の内野さんにお会いしました。ここでは、「縁側カフェ」を始めたきっかけや、現在の地域の様子などをお話をお伺いしました。
大沢地区は全戸23、人口72人と小さな集落です。そのほとんどが60歳以上の高齢者となり、限界集落のひとつとなりつつあります。
昔は、豊かな自然を生かした林業を営んでいたこともあったそうですが、現在は、大沢地区の9割の家庭がお茶農家を営んでいます。協働工場はもたず、それぞれが自分の家に工場を持つ「自園自製」の農家であることが特徴です。それ以外には、特に目立ったこともなく、むしろ、高齢化に伴う過疎化や、市場の低迷などによりこの地域では産業の衰退が起こっていました。
そこで内野さんたちは、大沢茶販売促進、地域振興のための販売促進会議を行うことにしたのです。
それは地域の人だけではなく、外部の協力を受けながら1年がかりでおこなわれました。
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『人とのつながりのある場所』
販売促進会議の中では、マーケティングや地域内外の人によるブレインストーミングによるアクションプランの作成が行われました。
あーでもないこーでもない、これはどうだあれはどうだ、長い期間をかけて、たくさんの意見を出し合いました。
その中で、大沢ってそもそもどんなところなんだ?自然が豊かなところ?人が優しいところ?そうそう、困ったときも誰かが助けてくれてねぇ。それだ!!っていうくだりがあったかどうかはわかりませんが、今でも地域の人が助け合って生活していて、『人とのつながり』を大切にしていることが大沢地区の最大の魅力だったのです。
大沢地区の「縁側カフェ」は、地域の魅力を引き出すツールとして企画されたのが始まりでした。
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「縁側カフェ」めぐり
内野さんに色々お話を聞かせていただいたあとは、さっそく「縁側カフェ」がどのように運営されているのかフィールドワークを行いました。
大沢地区代表の内野さんのお宅の縁側カフェ。すでにたくさんのお客さんでにぎわっています。築200年の木造建築でさくらももこさんが描かれたポストカードのモデルになっています。
現在大沢地区にある23戸すべての農家が縁側カフェに参加しています。そのうち月2回の開催日には、都合のつく農家さんだけが縁側カフェを開いてくれています。(住民に負担をかけないこ工夫をしていることもこの企画を持続させている重要なキーポイントです。)
訪問客は、休憩料として一律300円を農家さんにお渡しすることになっています。これは、この小さな地域だけで、「縁側カフェ」を運営するための貴重な財源になっています。
内野さん宅のように築200年の歴史ある家屋や、高台にある眺めのいい家、川沿いのせせらぎが楽しめる家、お手製のピザ釜による手作りピザが売りの家など、それぞれ個性豊かなカフェが、毎回10~12軒開かれており、一日ではとてもまわりきれません。
訪問すると、すぐにおうちの方があたたかく迎い入れてくれます。すぐにあたたかい大沢茶と農家さんが育てている新鮮な野菜や、山で採れる山菜などを使ったお手製のお茶うけをだしてくれ、気さくに話しかけてくれます。
家の入り口には、今日のお茶請けのメニュー表を置いてくれています。
離れたところに住む農家さんのご家族も手伝いに来てくれているようで、縁側はとても賑やかです。農家さんとお話をしていると自然と別のお客さんも会話に加わる賑やかさで、まるで親せきの家にでも来ているような感覚です。
いくつか縁側カフェをまわって、実際に見て、お話をうかがってみて、自然豊かな環境や、新鮮で美味しいお茶を味わうためがけでなく、『人とのつながり』があるアットホームな空間を求めて、たくさんの人がここを訪れていることがわかりました。
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大沢地区「縁側カフェ」は、平成25年6月9日の開催から今年で6年目になりました。
この取り組みを始めた頃は、接客が苦手な家も多く、たくさんの課題があったそうです。
しかし、今では「縁側カフェ」の実施を負担と感じるよりも,むしろ楽しみにしている人がほとんどだそうです。
それは、ここを訪れるお客さんとの交流や、盆や正月にしか戻ってこなかった遠くに住む家族が,手伝いに戻ってきてくれるようになったこと、また地域の豊かな資源を活かせるようになったことが地域の活力になっているからです。
お茶の販売促進を目的に始めた「縁側カフェ」は, 住民や地域資源を活用し、地域の魅力を発信するする重要なツールとなりました。いまでは日本だけにとどまらず、世界中から年間7,000人が訪れるようになりました。
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今回のフィールドワークでは、「縁側カフェ」の仕組みや、はじまったきっかけ、企画を持続させる工夫や、現在の課題などは、これから古内地区「庭先カフェ」の実施にあたって色々と参考にさせていただく点が多くありました。
これを踏まえ、次年度6月の開催に向け、関係者一同励んでまいりたいと思います。
最後に、お世話になりました大沢地区のみなさま、温かく迎えてくださり本当にありがとうございました。
引き続き、古内地区「庭先カフェ」についての情報はこちらのブログで配信していきます!